Canon DPP4でデジタルデュープ

Canon 純正の現像ソフト、Digital Photo Professional 4 (DPP4) を使ってカラーネガフィルムをデジタルデュープ、デジタイズする手順を紹介する。例に漏れず、巷では不評なソフトだが、一通りのことはできて、何より Canon のカメラユーザーであれば無料で使える。
使用したフィルムホルダーは JJC ES-2 。記事の最後には RF 85mm STM との組み合わせでフィルム撮影する際のコツを書いた。
ホワイトバランスの調整

- 写真を DPP で開き、ツールパレットを開く。(表示→ツールパレット)
- 基本調整のタブから、ホワイトバランスのスポイトボタンを選択。
- フィルムのベース部分(赤丸の所)をスポイトで選択。(漏れ出た白い背景光部分ではない!)
等倍マクロ撮影などで同じ画像内にベース部分がない場合は、フィルムの未露光部分の写真も同じ条件で撮っておき、ホワイトバランスとして登録して使い回す。

ピクチャースタイルなどはお好みで、自分はニュートラルにした。オートライティングオプティマイザも切っといた方が良いのかもしれない。
ネガポジ反転
方法1:各色反転
トーンカーブを反転してポジ画像にする。撮影時のホワイトバランスがフィルムの特性に合致している場合はRGB一括で反転しただけで上手くいくが、R,G,B それぞれで反転して色味も調整する方が無難。

- ツールパレットからトーンカーブのタブを開く。
- トーンカーブ調整から「直線」、表示ヒストグラムは「編集前」を選択。ドロップダウンメニューから調整するトーンカーブ (ここでは R) を選択。
- 制御点を4つ追加して、右下がりのカーブに反転する。
- R, G, B 各色に対してこれを行う。
元からある両端の点は入出力の下限と上限を決めているので、反転させるのには使えない。制御点の打ち方は以下のような感じ。
- 左上と右下の角に一つずつ制御点(1)、(4)を持っていく。
(マージンが4取られるので完全に角に持っていくことはできない。) - 制御点(3)の位置は、ヒストグラムが立ち上がる位置。
(少し内側にすると黒が締まる。) - 制御点(2)の位置は、ヒストグラムの強度が十分減衰してきた位置。
(左端に大きくあるのは撮影範囲外の暗部からくるものなので無視して良い。) - R,G,B 各色で (2) の位置などを左右に動かして色味を調整する。
右クリックからレシピをコピーして貼り付ければ、別のコマでも微調整だけで済むので楽。
ヒストグラムの右端の立ち上がりのピークは、フィルムのベース部分に対応すると思われるので、このピークがRGBでほぼ揃っていれば WB が揃っていることになる。ヒストグラムが中央に寄っていない場合は、おそらく光源に問題がある。
トーンカーブはなめらかな方が良いっちゃ良いのかもしれないが、DPP だと全ての制御点をベジエ曲線にすることしかできないので、反転させることは実質不可能。個人的には差は感じない。
DPP では、「基本調整→トーンカーブ」の順番で処理が走るようなので、この後に基本調整から明るさなどを変えると、ヒストグラムが変更を受けてズレてしまう。同じタブの中にも明るさを変える項目があるので、そちらから変えるほうが良いでしょう。これは、RGBカーブを調整するものなので、シャドウの持ち上げなども RGB カーブを直接弄ればよい。

方法2:一括反転→各色調整
RGBで一括反転してから、各色のトーンカーブで色味を調整する手段もある。

制御点(3)は少し浮かせると暗部を自然に持ち上げることができる。ハイキーな写真の場合には制御点(2)についても同様。
おまけ: RF 85mm STM でのフィルム撮影

RF 85mm STM は前玉繰り出しで、フィルターも前玉に付けるレンズなので、フィルムホルダーをレンズに付けると重みに耐えられない。(加えて、付属のエクステンダーだけでは最短撮影距離に届かない。)なので離して撮影する。光源別のキットを買ったので、無線接続したストロボを使用する。直接では強すぎるので、ここでは反透明のコンテナの下に小さいレフ板を置き、そこに反射させた光を当てる形にした。TTL で調光しているので、このくらいでも丁度よい明るさにしてくれる。

加えて、ハーフマクロなのでこのくらいの大きさが限界となる。2970×1980 なので 580万画素ほど。理論的には 2400万画素 x 0.5 x 0.5 = 600万画素 が撮れるはずなので、ほぼ最大倍率。